古井戸

雨画スミの旧ブログ。

南くんの恋人

 突然ふっと、昔ドラマが放送されてたのを観てたなぁ~って、でも当時子供だったし内容はあまり覚えていなくて、ググったら原作に興味を持ちました

南くんの恋人 (文春文庫)

南くんの恋人 (文春文庫)

 

 

内田春菊さんという作家さんを知ったのは、大学生になったあたりかなぁ…作品は読んだことなかったけど、書店通いのうちに代表作と表紙の絵を覚えていたりして、まさかここで内田春菊さんと、遠い記憶の「南くんの恋人」が繋がるなんて…という謎の感動に包まれつつ、Kindleの100円というお手軽価格にも感激し即購入して読みました。

なんというか、ドラマってたしかもっとこうありふれた青春コメディ?だったように思うんですが、あれは随分原作とかけ離れたテーマで作られたみたいですね…(自分の薄い記憶とウィキ調べ)

私は断然、原作のほうが好きです。好きというか、私はいつも原作至上主義になりがちで、もちろん映像化したものも素晴らしいで気になっていることもあることは分かっていますが…やはり原作が素晴らしいからこそ映像化されるわけで…。私がマンガ好きということもあるんでしょうが…映像化されたものより、とにかく原作が好きかどうかで見ています。

このマンガは、ドラマとは本当に「表現したいこと」が違っているように感じました。「ちよみが小さな体である」という、非現実的な事実に対して、登場人物の考えていることや、対処法とか、行動が、非常にリアルなんです。ちよみはちゃんと生理が来るし、衣服は南君が手縫いしたものを着ていて、ちよみの身体に合うサイズのブラジャーなんてもちろん存在しないから、ちよみはノーブラだとか。ちよみとセックスできない南君はオナニーしてしのいでるとか。ちよみの入った小さな箱をバッグの中に入れ、電車に乗って出かけようとするのも、二人には本当に苦労することなんです。生活の中の、「ちよみが小さい」ことによって生じる様々な「不便」が、とても現実的に描かれている。こういう作品というのはとても珍しいのではないかなぁ…でもこういう描き方は、個人的にはとても好きです。より共感できるというのかな…これがもしもっと夢のある作品だったら「あはは良いなぁこんなことあったら面白いよなぁ」となるんだけど、この現実的な南くんとちよみの物語は、とても重い。最後の結末も、夢は一切ないです。現実に、誰でも起こりうること。だから読後は本当に重かった。

昔観たドラマのイメージを覆すという意味でも、物語の描き方としても、とても印象深い作品でした。小さなきっかけからだけど、読むことができて本当に良かったな、と思った次第です。

 

う~ん、まとまらない!/(^o^)\